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ベランダに置いたプランターたちの中に育つ緑のグラデーションは、日に日に大きさを増しながらその濃淡のバラエティを豊かにしている。手のひらに乗るほどだったプチトマトの苗は、みずみずしいたくさんの実を付けながら今年もあっという間に150㎝の私の背丈…
飼い猫を連れての一時帰国をしている両親から段ボール4つ分の届け物があった。一つは発泡スチロールの箱で、そこには冷凍の魚がいっぱいに詰め込まれていた。もう一つの箱にはが豚の角煮ときんぴらゴボウ、ふきの煮物、キャベツの甘酢漬けなどの私が好きな母…
書き物に無駄なものが多く混ざり過ぎていたのを感じてしばらく書くのをやめることにしてから、外の空気は随分と暖かくなった。相変わらずの日々が続いている私にも、この三寒四温のペースくらいには変化が起きていますようにと、言もなく静かに祈り続けてい…
仮にも研究者を志す者として、私は自分の感情というものとの間にいつも注意深く距離をとっている。資料を十分に公正に見、聞き、読むためにも、テクストを十分に平明に書くためにも、研究対象との間にある時間のなかで十分に思慮深く考えるためにも、自分の…
熱が下がってから、なにか飲むものや果物を買いに駅の方まで出ることにした。二月の陽は暖かく、やがて梅や桜の開花があちこちを賑わせるのだろうという予感が駅前の十字路を吹く風のなかにも見出された。北野天満宮の梅花祭ももうすぐだ。 私が桜の花より…
2014年なんて、ソチオリンピックなんて、ずっと先の話だと思っていた。ずっと先だと思っていたものが現実になっていくことに驚愕しているというよりも、ずっと先だと思っていたものがすさまじい勢いでどんどんと過去になっていることに、私は心の底から驚嘆…
一昨日の晩から、あろうことか「自由」について考え続けている。そして昨日の晩からはそれに加えて「本質としての死/現象としての死」という表現が頭からは離れない。寝て起きたら忘れるどころか、私の意思に代わって思考を続けていた夢のおかげで、寝起き…
ここ数週間、400mgまで増やしたセロクエルを毎夜服用するようになってから、生活の主導権が完全に私の意思から眠りへと移っている。それまでしてでも身体や脳にまずは休眠を与えたいという主治医の方針に同意した上とは言え、増薬の引き金となった深い抑う…
昨年末までの約一年半あまりを、ほとんど十分な休みをとることなく過ごしてきてしまった代償として、ここ数ヶ月の心身の不調と向き合わねばならなくなっているのだが、不調の三ヶ月目が終わろうとするいまとなっては、一年半の緊張による疲労よりもむしろこ…
成人式のニュースが度々目に入っていたせいだろうか、なにかがトリガーとなって気付けば尾崎豊についてのサイトを眺めていた。私は、リアルタイムで尾崎豊が歌っている姿を見たことがないし、また親も歌謡曲の類はサザンやユーミン、山下達郎などのフォーク…
島崎藤村『破戒』を読む。学部時代のゼミのある後輩が『破戒』を愛読書としており、事あるごとに藤村の話をしていたことを思い出していた──もともとは現代美術の批評を専門とする指導教官のゼミであったが、代々(指導教官も含め)むしろ美術以外の文学や音…
No, garbage rose first, inciting people to build a civilization in response, in self-defense. We had to find ways to discard our waste, to use what we couldn't discard, to reprocess waht we couldn't use. Garbage pushed back. It mounted and…
今年の仕事の記録② 「思考の経験としての臨床美学のために──感情移入についての報告」 0. はじめに 2012年度に提出した卒業論文では、フランスの思想家・美術史家ジョルジュ・ディディ=ユベルマンによる「もうひとつの美術史」を手掛かりに、パノフスキー以…
相変わらずのんびりと本棚の整理に励んでいた。しかし、片づけているのか、本を読んでいるのかよくわからないといったペースのせいで、片付く前にそろそろ飽きてきそうである。気分転換にPCのデスクトップの片づけもしたため、発掘された今年の学びを拓本が…