de54à24

pour tous et pour personne

Entries from 2014-01-01 to 1 year

TOMATOES🍅

トマトが色付き始めました。 夏の気配を感じる夕べのミントジュレップは、二度忘れられたあの詩人のことばを思い出さんとして過ぎてゆく。 きみ知るや 白百合を紅い薔薇にかえる法を 接吻せよ色白のガラテアに──顔赤らめて笑うべし (フリードリヒ・フォン…

『色彩のない多崎つくる』と(男のいない)女たち

ベランダに置いたプランターたちの中に育つ緑のグラデーションは、日に日に大きさを増しながらその濃淡のバラエティを豊かにしている。手のひらに乗るほどだったプチトマトの苗は、みずみずしいたくさんの実を付けながら今年もあっという間に150㎝の私の背丈…

oki tegami

多くの人にとって春の大型連休最後の日となる6日は、久しぶりによく晴れたこともあって、天候が悪いとそれに引きずられるようにして悪化する重苦しい体調からようやく免れた。済まさねばならない用事がこの悪天候続きの日々の間に溜まってしまったので、今日…

ベランダの住人たち

Le 2 mai 2014 朝顔(渓流) パクチー Le planteur A スイートバジル Le planteur A スイートバジル Le planteur B レタスバジル ローズマリー+ルッコラ スペアミント+ペパーミント スペアミント+ペパーミント+ +レモンミント+キャンディミント アッ…

サバイバルに必要なのはナイフではない

今年で一番夏に近い日の朝に目を覚ますと、いつものように淹れたコーヒーに氷を三つ浮かべた。それからカップを持っていつものようにベランダに出て、よく晴れた青空になんとも言えぬ満足感を覚えながら、南側と西側の壁に沿って並べたプランターのなかの様…

この朝に何度「おはよう」と言っただろう

先週の通院日は、約3年に渡って私の主治医を務めてくださっていた先生による最後の診察日だった。2011年の初夏に入院したときに出会ってから、休学中だった大学へ復学し、卒業論文を書き、無事に卒業を迎え、それと同時に外部の大学院に進学するに至るまで、…

いくつかの理解にミントを添えて

12日の土曜日に、連絡がうまくいっていなかったために急ぎの手続きの必要が生じた件で郵便局へ行った。週末でも営業している郵便局は二箇所あるが、どちらも行くには同じくらいの時間がかかりそうだった。そのため、普段はあまり行かないほうで書留郵便を出…

詩人の想像力としての ¬

「私の感覚に現出する非感覚的なものの意味深さは、それゆえ私の感覚を震撼させる。このことについてたいそう意味深い苦情を呈する」。たまたま読んでいた書物の一隅に引用されていたミゲル・デ・セルバンテスの『ドン・キホーテ』からの一節である。音楽や…

和太多的太陽花, 這是一場盛大的戰事

日本では桜が街角や公園からテレビのニュース、そしてウェブサイトまで、あちこちで美しい花を見せているが、ここしばらくfacebookをひらくと日本の桜に混ざって台湾のヒマワリとカーネーションが花を咲かせている。 2013年6月に台湾中国間で調印された「サ…

深き瑞々しさを湛えた最良の部分

飼い猫を連れての一時帰国をしている両親から段ボール4つ分の届け物があった。一つは発泡スチロールの箱で、そこには冷凍の魚がいっぱいに詰め込まれていた。もう一つの箱にはが豚の角煮ときんぴらゴボウ、ふきの煮物、キャベツの甘酢漬けなどの私が好きな母…

うさぎとヴェールに残酷で愛のこもったお別れを

書き物に無駄なものが多く混ざり過ぎていたのを感じてしばらく書くのをやめることにしてから、外の空気は随分と暖かくなった。相変わらずの日々が続いている私にも、この三寒四温のペースくらいには変化が起きていますようにと、言もなく静かに祈り続けてい…

sakuraing, the wide blue yonder

河瀬の音が山に来る、春の光は、石のやうだ。筧の水は、物語る白髪の嫗にさも肖てる。雲母の口して歌つたよ、背ろに倒れ、歌つたよ、心は涸れて皺枯れて巌の上の、綱渡り。知れざる炎、空にゆき!響の雨は、濡れ冠る!・・・・・・・・・・・・・・・われかにかくに手を拍く…

桜桃

二週間ぶりの通院。ここのところ二回に一度はベッドから起き上がるのにも小一時間は掛かかってしまうほどに体調が優れず、やむなく病院の予約をぎりぎりになってキャンセルしている。先週もまた起床の時間になってもベッドのなかで身動きひとつとれず、病院…

蛸と霧

仮にも研究者を志す者として、私は自分の感情というものとの間にいつも注意深く距離をとっている。資料を十分に公正に見、聞き、読むためにも、テクストを十分に平明に書くためにも、研究対象との間にある時間のなかで十分に思慮深く考えるためにも、自分の…

奇跡と花

熱が下がってから、なにか飲むものや果物を買いに駅の方まで出ることにした。二月の陽は暖かく、やがて梅や桜の開花があちこちを賑わせるのだろうという予感が駅前の十字路を吹く風のなかにも見出された。北野天満宮の梅花祭ももうすぐだ。 私が桜の花より…

流れとよどみ

2月14日、世はバレンタインデー一色となっているのを横目に、2005年のこの日に大阪の寝屋川中央小学校で起きた教師殺傷事件についてをただ黙々とネットで調べていた。一審で懲役12年の判決を受けていた犯人の少年(事件当時17才)に対し、大阪高裁(古川博…

ベランダに落ちた闇への言詞

研究を進めたいと祈るように思いながらも、思えば思うほどに思考や身体がただただ硬直していくような感覚にとらわれる。相変わらず調子があまりよくないのだろう。研究関連の書籍に関しては読めないどころか、本を手に取ることもできていない。なにか精神的…

Wikipediaは燃えるのか: 過去の証明

2014年なんて、ソチオリンピックなんて、ずっと先の話だと思っていた。ずっと先だと思っていたものが現実になっていくことに驚愕しているというよりも、ずっと先だと思っていたものがすさまじい勢いでどんどんと過去になっていることに、私は心の底から驚嘆…

風俗街の舗道で、今日のナナたちの自由

一昨日の晩から、あろうことか「自由」について考え続けている。そして昨日の晩からはそれに加えて「本質としての死/現象としての死」という表現が頭からは離れない。寝て起きたら忘れるどころか、私の意思に代わって思考を続けていた夢のおかげで、寝起き…

Vivre sa vie!

二月になったばかりだというのに、昼間は南側の窓に加えて東側の部屋で一番大きな窓も開け放つほどに気温も湿度も高かった。夜になってもまだ寒いとは言い切れない、なんとも心地の悪い空気が漂っている──挙げ句の果てに少し前からお囃子が聞こえるのである…

家族の在処: Reconnecting laws to the systems

ここ数週間、400mgまで増やしたセロクエルを毎夜服用するようになってから、生活の主導権が完全に私の意思から眠りへと移っている。それまでしてでも身体や脳にまずは休眠を与えたいという主治医の方針に同意した上とは言え、増薬の引き金となった深い抑う…

雄鶏のパレード

今朝は病院があったのだが、体調が悪く外出困難が続いたために延滞しまくっていた図書館の本を返したくて、今日は予約時間よりずっと早く、朝7時を回った頃に大学へ向けて家を出た。キャンパスまでの道のりで大勢の人々とさわやかな気分を共有できるほど心身…

されど、死ぬのはいつも他人

学部時代の恩師は、よく彼の幼い頃の出来事について言い及んだ。それはある夜、布団にくるまる小さな彼をふと突然に「死」という概念が襲い、眠りどころか彼の小さな世界全てを錯乱に陥らせては、ついには彼を生きていられないほどの恐怖に引きずり込んだと…

嘘のないひとの嘘

ここのところ、ものの喩えではなく字義通りの意味で、週に一度は結婚妊娠出産いずれかのお知らせが届く。この知らせの多さは、私が大体四年毎に暮らす場所を変えてきたせいもあろうが、いつどこで出会った者であれ友人たちが新しい生活スタイルを叶える年頃…

On Colours: 愛の無言の言語

増薬のせいか、あるいは久しぶりの外出の疲れか、昨日きいたショッキングなニュースのせいか、いつにも増してつらい日中だった。陽光は去り、天空はいつのまにか深い藍に満たされると、隙のない寒さが街中に敷き詰められた。確か、下弦の月より少し若い月を…

dépaysement: 不安と順応

昨年末までの約一年半あまりを、ほとんど十分な休みをとることなく過ごしてきてしまった代償として、ここ数ヶ月の心身の不調と向き合わねばならなくなっているのだが、不調の三ヶ月目が終わろうとするいまとなっては、一年半の緊張による疲労よりもむしろこ…

山を乗り越える技術

ここ数日あまりにも月が強く光るので、カーテンを開けて長らく眺めていた。そのまま眠らぬまま朝になった。朝になるより早く19年前に阪神淡路大震災が起きた時刻になった──来年成人を迎える人たちは、この真冬の未明におきた大震災を同時代的には知らないと…

バートルビー、ある友についての覚書

成人式のニュースが度々目に入っていたせいだろうか、なにかがトリガーとなって気付けば尾崎豊についてのサイトを眺めていた。私は、リアルタイムで尾崎豊が歌っている姿を見たことがないし、また親も歌謡曲の類はサザンやユーミン、山下達郎などのフォーク…

眠れぬ夜の娘たち

眠りのない夜と、一日中巨大な睡魔に呪われる日が、数日毎にやってくる。増薬してから約一月が経つので、そろそろなんらかの明示的変化がみえてくる頃だが、未だ通院を断念するほどにも体調が悪い日も多く、明らかに精神的に不安定なようである。そうは言っ…

ラソモワール: L'assommoir

昨夜もまた一睡もしないまま夜が明けた。夕方、シャワーを浴びてから散歩へ出た。そのまま大通りのほうへ歩いた。日がすっかり暮れたばかりの街は、その他のどの時間よりも広く空も高いように感じる。書店に寄るつもりでいたが、体調が優れなかったので暖か…