de54à24

pour tous et pour personne

films

サバイバルに必要なのはナイフではない

今年で一番夏に近い日の朝に目を覚ますと、いつものように淹れたコーヒーに氷を三つ浮かべた。それからカップを持っていつものようにベランダに出て、よく晴れた青空になんとも言えぬ満足感を覚えながら、南側と西側の壁に沿って並べたプランターのなかの様…

桜桃

二週間ぶりの通院。ここのところ二回に一度はベッドから起き上がるのにも小一時間は掛かかってしまうほどに体調が優れず、やむなく病院の予約をぎりぎりになってキャンセルしている。先週もまた起床の時間になってもベッドのなかで身動きひとつとれず、病院…

蛸と霧

仮にも研究者を志す者として、私は自分の感情というものとの間にいつも注意深く距離をとっている。資料を十分に公正に見、聞き、読むためにも、テクストを十分に平明に書くためにも、研究対象との間にある時間のなかで十分に思慮深く考えるためにも、自分の…

ベランダに落ちた闇への言詞

研究を進めたいと祈るように思いながらも、思えば思うほどに思考や身体がただただ硬直していくような感覚にとらわれる。相変わらず調子があまりよくないのだろう。研究関連の書籍に関しては読めないどころか、本を手に取ることもできていない。なにか精神的…

Wikipediaは燃えるのか: 過去の証明

2014年なんて、ソチオリンピックなんて、ずっと先の話だと思っていた。ずっと先だと思っていたものが現実になっていくことに驚愕しているというよりも、ずっと先だと思っていたものがすさまじい勢いでどんどんと過去になっていることに、私は心の底から驚嘆…

風俗街の舗道で、今日のナナたちの自由

一昨日の晩から、あろうことか「自由」について考え続けている。そして昨日の晩からはそれに加えて「本質としての死/現象としての死」という表現が頭からは離れない。寝て起きたら忘れるどころか、私の意思に代わって思考を続けていた夢のおかげで、寝起き…

Vivre sa vie!

二月になったばかりだというのに、昼間は南側の窓に加えて東側の部屋で一番大きな窓も開け放つほどに気温も湿度も高かった。夜になってもまだ寒いとは言い切れない、なんとも心地の悪い空気が漂っている──挙げ句の果てに少し前からお囃子が聞こえるのである…

エル・ブリの秘密

フェラン・アドリアの休業とともにエントランスを閉ざしてから約2年、再始動をいよいよ来年に控えたelBulli。そういえば、と思い出したように〈エル・ブリの秘密──世界一予約のとれないレストラン〉を観た。 度々聞こえる「Japón」だの「Yuzu 柚」だの「Kaki…